お隣に住む大家のお婆ちゃんは、麹づくりの名人です。
毎年、注文を受けてたくさん作って発送しています。
個人宅で、一から作っている所はそうそうないだろうと思う。
お婆ちゃんは数年前から一人住まい。
何キロもある米を持ち上げたりするのは重労働。
今回は私達がお手伝いさせてもらうことになりました。
朝、5時頃からかまどに火を入れ、大きな釜で米を三斗ほど蒸します。
一斗が約18キロなので、50キロ以上の米。
一度にこれだけの量を蒸せるのはこの大きさでないと無理だろうな。
蒸しあがったら、麻布を敷いたムシロに米を乗せて広げ、麹菌を混ぜ込みます。
そのあとは、暖めておいた室に運び入れて数日置いておくそうです。
細かい温度や作業工程などは、ほとんどお婆ちゃんの長年の経験による感覚に頼っているので、ここでは説明しきれません。
何よりも素晴らしいと感じるのは、江戸時代から続くこの作業を当時と変わらない道具と製法で行っている事です。
もちろん、米も自家製、水も裏山からの湧水です。
この麹を求める人達は、他ではない美味しさに気づいているからなのかもしれません。